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マーケティングトレース#3 株式会社ココナラ

キノボルタ
キノボルタ

こんにちは!Webデザインとマーケティングを勉強中のキノボルタです。

今回のマーケティングトレースは、「得意を売り買いココナラ♪」のメロディでおなじみの株式会社ココナラ

この企業は「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」という壮大なビジョンのもと、
個人のスキルを気軽に売買できるオンラインマーケットを展開しています。

今回は、ココナラの事業の背景から成長要因、ビジネスモデル、そして今後の展望までやっていきます。

ココナラの理念とビジョン

株式会社ココナラは、「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」という理念を掲げています。

この理念のもと、誰もが持つ「得意」を気軽に売買できる場を提供し、

多くの人の可能性を広げるプラットフォームとして成長を続けています。

事業の背景と成長の軌跡

創業のきっかけ

ココナラの創業は、2011年の東日本大震災が大きな転機でした。

当時、投資ファンドで働いていた創業者・南 章行氏は、震災を機に2011年に退社。

新たな事業の準備を始めたのが、ココナラの原点です。

社会に新しい価値を生み出したいという強い思いが、このサービスの礎となっています。

スケールのターニングポイント

ココナラの知名度を飛躍的に高めたのは、2017年から始まったテレビCMです。

「得意を売り買いココナラ♪」のキャッチーなフレーズは多くの人の心に響き、短期間で会員数は数十万人規模へと拡大しました。

この急成長の背景は、広告効果だけではありません。

サービス立ち上げ当初からカテゴリ数を限定せず、500種類以上もの幅広いスキルが売買される場を提供。

さらに、近年のフリーランスや副業ブームが追い風となり、多くの個人が自身の「得意」を活かせる場としてココナラが選ばれていったと推測されます。

ココナラのビジネスモデルと収益の柱

ココナラは、個人のスキルを売り買いするマーケットプレイス型のビジネスモデルです。

サービス登録や出品は無料で、取引が成立した際に手数料が発生する仕組みとなっています。

主な収益源は取引手数料

出品者からは22%(税込)、購入者からは5.5%(税込)の手数料を徴収し、合計27.5%が基本的な手数料率です。

電話相談サービスでは約60%(出品者負担のみ)、ビデオチャットサービスや有料ブログも27.5%(税込)と、サービス形態に応じた手数料設定です。

収益の柱「占い」カテゴリ

特筆すべきは、「占い」カテゴリが収益に占める割合の高さです。

過去のデータでは、流通総額全体の約30%〜40%以上、営業収益では約40%〜50%以上を占めていました。

占いサービスは文字情報提供が基本となるものが多く、ユーザーからの継続的な利用が見込まれるため、

安定したリカーリング型の収益構造に貢献しています。

オーガニック集客による効率化

ココナラは数十万件のサービスコンテンツを保有しており、新規ユーザーの7割から8割をオーガニック(無料)で獲得しています。

これにより、広告費などのマーケティングコストを抑えつつ、効率的にユーザーを獲得し、収益に結びつけることが可能です。

今後の事業展開

ココナラは今後、エージェント事業を大幅に拡大していく方針のようです。

これらの事業強化により、個人のスキルをより専門的なビジネスニーズに結びつけ、新たな市場を開拓していく狙い。

  • ココナラアシスト:オンラインアシスタント代行領域
  • ココナラプロ:実名制で高品質な制作物を納品
  • ココナラコンサル:ハイクラスな副業コンサルティング
  • ココナラテック:IT人材エージェント(2024年6月にM&A)

外部環境分析(3C分析)

ココナラの事業を取り巻く外部環境を「3C分析」で見ていきます。

  • 市場・消費者(Customer)
    • ユーザー数の急拡大:テレビCMによる認知拡大で、利用者が大幅に増加しています。2022年8月の314万人から、2024年度には423万人へと拡大。
    • 市場規模と成長性:2023年には推定92億円、2024年には流通総額100億円(+9%の成長)に達する見込みです。長期目標として、1000億円規模を目指しています。
  • 自社(Company)
    • 高成長を維持:売上高は年率40%以上で成長。
      • 2024年8月期:65億8871万円(前年比+40.81%)
      • 2025年8月期予想:95億円(前年比+44.19%)
    • 利益構造の改善:2023年までは赤字でしたが、2024年より回復傾向にあります。

      2024年8月は5億8,300万円(前年比+5.2億円の大幅改善)を達成し、収益性が向上しました。

競合環境と差別化戦略

取り扱いサービスが多岐にわたるため、ココナラの競合も多様です。

  • クラウドソーシングサービス:ランサーズ、クラウドワークスなど
  • 総合型スキルシェア・スキル販売プラットフォーム
    • TimeTicket(タイムチケット):個人の時間を売買するコンセプト
    • MOSH(モッシュ):クリエイター向けのデジタルコンテンツ販売
    • Anytimes(エニタイムズ):地域密着型の日常生活サポート
  • 特化型スキルマーケット
    • SKIMA(スキマ):イラストやデザインなど、クリエイティブ系に特化

STP(市場・顧客のとらえ方)

主要ユーザー層

ココナラの主要ユーザー層は以下の通りです。

  • 出品者:「スキルで誰かの役に立ちたい」と考える20代〜30代
  • 購入者:「気軽にスキルを買いたい」と考える20代〜40代

段階的なサービス拡張により、エンターテインメントからビジネス、個人から法人まで幅広いユーザー層を獲得し、
みんなが使えるプラットフォーム」としての地位を確立しています。

特に女性ユーザーの比率が高く、「占い」「美容」「ライフスタイル」などのカテゴリは女性からの需要が非常に高い傾向にあります。

独自ポジショニング戦略

ココナラは「個人の得意を気軽に、安全に、そして多様な形で売り買いできる」という独自の価値提案を市場に提示しています。

先行的なテレビCM投資でブランド優位性を確立し、高品質なサービスで高収益を実現。

結果として、競合よりも高い手数料でもユーザーに選ばれる独自ポジションを築き上げました。

マーケティング戦略分析(4P)

ココナラのマーケティング戦略を「4P」の視点から分析します。

  • プロダクト(Product)
    ココナラは、ユーザーの「得意」をサービスとして売買できるオンラインスキルマーケットです。
    デザイン、ライティング、プログラミング、占い、相談など、非常に多岐にわたる無形スキルやデジタルコンテンツが取引されています。
    サービスの登録・出品は無料で、個人だけでなく法人も利用可能。
    ユーザーは自身のスキルを「サービス」という形で提供し、購入者はそれを「購入」するという、ユニークな商品形態が特徴です。

  • プレイス(Place)
    サービス提供と消費がすべてオンライン上で完結するデジタルプラットフォームです。
    PCやスマートフォンアプリを通じて、時間や場所の制約なく、日本全国どこからでもアクセス・利用が可能。
    特に「ココナラビジネス」では、企業と個人のマッチングをオンラインで行い、契約から納品、決済までを一元管理できる環境を提供しています。

  • プロモーション(Promotion)
    ココナラのプロモーションは、オーガニックな集客デジタルマーケティングを重視。
    ユーザーの「得意」というコンテンツ資産を活かしたSEOが強力で、新規ユーザーの多くを自然流入で獲得しています。
    SNSを活用した情報発信や成功事例の紹介、インフルエンサーマーケティングも積極的に展開。
    テレビCMなどのマス広告も活用し、幅広い層へのリーチを図っています。

  • プライス(Price)
    ココナラの価格設定は、出品者が自由にサービス価格を設定できるのが基本です。
    初期費用や月額費用はかからず、取引が成立した場合にのみ、出品者から一定のシステム手数料を徴収するモデル。
    この手数料は取引金額に応じて変動する段階的な料率が設定されており、
    購入者は自身が納得する価格でサービスを選べるため、価格の透明性が高いといえます。

マーケティング担当だったら?

もし私がココナラのマーケティング担当であれば、
プライベートからビジネスまであらゆるスキル需要を満たす総合プラットフォームへの進化をさらに加速させるため、以下の施策を実施します。

休眠ユーザーの掘り起こしと法人需要の開拓

現在、登録者数423万人に対して利用者は14万人と、利用にまで至っていない休眠ユーザーが多いのが現状です。

これらのユーザーの利用促進と、法人向けサービス「ココナラビジネス」での新規登録・利用を積極的に促します。

具体的な目標として、「ココナラジャーニー」の数値目標を明確化します。

  • ステップ1(新規登録層:約300万人):登録から初回購入率を現在の3.3%から12%へ向上
  • ステップ2(関心層:約100万人):サービス閲覧から購入率を現在の5%から15%へ向上
  • ステップ3(既存顧客:約20万人):年間購入回数を現在の2回から6回へ増加

ココナラアンバサダープログラムの強化

初回利用を促進するため、ココナラを効果的に活用しているユーザーを「ココナラアンバサダー」として認定。

彼らの具体的な利用方法や成功事例を積極的に発信してもらい、潜在顧客にサービスの魅力を伝えます。

同時に、戦略的にメディアに取り上げられるような広報施策も並行して進めます。

ココナラビジネス専任コンサルタントの拡充

法人顧客の獲得を強化するため、「ココナラビジネス」において専任のコンサルタントチームを拡充します。

企業の担当者からWebサイトのリニューアルやWebマーケティングといったビジネス課題をヒアリングし、

ココナラに登録している優秀な出品者の中から最適な人材を選定・提案。契約から納品、決済まで必要に応じてサポートを行い、

確実な実績を積み重ねていきます。

まとめ

株式会社ココナラは、個人のスキルシェア市場において独自のポジションを確立し、高い成長率を維持しています。

今後は、休眠ユーザーの活性化と法人需要の開拓がさらなる成長の鍵となりそうです。

プライベートからビジネスまであらゆるスキル需要を満たす総合プラットフォームへの進化を目指し、今後の市場拡大が期待されます。


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