
こんにちは!Webデザインとマーケティングを勉強中のキノボルタです。
マーケティングトレース第2弾は、株式会社メルカリさんです。
もはや知らない人はいないというレベルの日本最大のフリマアプリで、短期間で一気に広まったので、どのような戦略があってここまでビジネスをスケールさせたのか興味が沸いたので、調べてみることにしました。

細かすぎで分かりづらいので、以降で項目ごとに見ていきます。
事業の背景と成長要因

理念・ビジョン
株式会社メルカリ 山田進太郎CEO
「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」
2023年の創業10年のタイミングで、マーケットプレイスから事業拡大を見込みビジョンを上記に変更。
なぜこの事業を始めたのか?
メルカリを創業する前に世界一周をしていた時、地球資源が限られているなかで新興国の全員が先進国と同じように豊かに暮らすことは難しいことだと感じました。ただ、帰国後にスマートフォンの急激な普及をみて、テクノロジーの力で限りある地球資源をなめらかに循環させることができるのではと考えました。そうすることで世界中で豊かな社会を実現し、一人ひとりが持つ可能性はもっと広がるのではないか。そんな想いから小さな雑居ビルの一室で、仲間たちと立ち上げたのがメルカリです。
引用元:https://careers.mercari.com/message/
何がきっかけでビジネスがスケールしたのか?
3億円の融資を受け、毎月4,000万円から5,000万円を広告に投下したことで、アプリダウンロードがどんどん増えていき、ユーザーがアプリを利用しているのが見て取れる状況になっていった。
また、テレビCMで大々的に告知したことで、ネット界隈では知られたアプリになった実感がありました。
2014年10月1日に手数料を有料化し、売上計上開始。
出典:https://www.xtech-ventures.co.jp/info/369
テラスハウスメンバーに出演してもらったテレビCMだったことからターゲットは、20代から30代の流行に敏感な女性。「安くおしゃれな服が欲しい」「スマホで小遣い稼ぎがしたい」といったニーズに合致したと思う。
詳しい記載はないですが、GoogleやMetaのディスプレイ広告、リスティング広告などは活もちろん活用しつつの認知活動だったはず。
その時の市場環境のどの部分が追い風になったのか?
スマートフォンの普及
2012年から2015年頃のスマホ普及率の急上昇が一因。カメラの性能も上がり、商品撮影が手軽になったため、出品が容易になったことと、写真のクオリティが上がったことで、購入しやすくなった。
シェアリングエコノミーの台頭
- Uber:2013年に日本上陸
- Airbnb:2014年に日本上陸
メルカリがリリースされたタイミングで、Uberと、Airbnbが日本でサービス展開された時期ということもあり、「所有からシェアへ」というフレーズも聞かれるようになってきた頃。
直接的には関係はないですが、時期的にも、この後2015年にSDGsが制定されたこともあり、シェアという考え方は時代にあっているなぁと改めて実感。
副業・お小遣い稼ぎニーズの拡大
2008年のリーマンショックの影響で、給与の実質的な伸び悩みが常態化し、将来の不安の高まりによる副収入への関心が増えていった。
また、スマホが普及していったことで、スマホによるスキマ時間活用の概念が浸透し、「スマホでお小遣い稼ぎ」ニーズにも合致していったことも利用者が増えていった要因だと思います。今ではメルカリで月間100万円を超える売上を出している人もいることを考えると、副業にもあっていたということですね。
競合対策
競合のフリマアプリといえば、以下2社。それ以外は、特定のジャンルに絞ったアプリとターゲットが違うため、除外しています。
楽天「ラクマ」(2014年11月)
- 既存ユーザー、楽天ポイント連携による差別化
Yahoo!「ヤフオク!フリマ」→「PayPayフリマ」(2012年→2019年改名)
- ヤフオクの知名度とユーザー基盤活用
- PayPay連携による決済利便性向上
先行者利益の最大化
サービス開始当初のメルカリは、フリマ機能に加えたサービスは十分でなかったため、ラクマやPayPayフリマなどの競合サービスと比べて、利用者にとってのメリットが少なく感じられる部分もありました。
しかし、メルカリが大きく成長できた要因の一つは、積極的な広告投資による認知度の向上が大きい。
- 圧倒的な初期投資で広告費用などで認知を獲得
- テレビCM大量投下(2014年〜2015年)で認知を一気に拡大
- ダウンロード数1位のポジション確立
また、利用者が増えていくにつれて、売り手が多い→商品豊富→買い手が増える→売り手も増える、という好循環を構築。
一定規模到達後は、後発が追いつきにくい構造を構築しています。
まとめると、先行者利益を活かした大規模投資とネットワーク効果による参入障壁構築で競合を封じ込めました。
特に初期の認知度獲得競争で圧勝したことが決定的でした。
外部環境分析(3C分析)

市場・消費者(Customer)
国内リユース市場は、2025年3.25兆円、2030年には4兆円超えが予想されています。
ネットリユース市場は、1兆7,870億円規模です。台湾、香港などのアジア圏にも進出し、特に香港では、2025年3月には登録者が20万人を超え、キャラクターグッズが人気です。
国内ではインフレにより中古品を求める層の増加と、海外では日本のアニメキャラクターグッズの人気が好影響し、市場は成長予想です。
自社(Company)
「国内外での事業基盤拡大」「Fintech・新規事業の成長」「グローバル化」「AI・データ活用」「収益性強化」を中期戦略の柱とし、持続的な成長と社会的価値創出を両立します。
競合(Competitor)
- 楽天「ラクマ」(2014年11月)
既存ユーザー、楽天ポイント連携による差別化 - Yahoo!「ヤフオク!フリマ」→「PayPayフリマ」(2012年→2019年改名)
ヤフオクの知名度とユーザー基盤活用、PayPay連携による決済利便性向上
STP分析(市場・顧客のとらえ方)

セグメンテーション
戦略的には、「A」の「20代〜30代女性」に絞り込み、そこから自然な拡大でコアターゲットを「幅広い年齢層の個人間取引ニーズ保有者」へと発展させ、初期の集中戦略が後の拡張成功の基盤となった。
ターゲット
「A」の20代〜30代女性の小遣い稼ぎ、スマホ副業のニーズに絞り込み、広告も2013〜2014年に流行っていたタレントを起用したTVCMなどで急速に認知を広げていった。
ポジショニング
ポジショニング(ターゲットの頭の中にある競合との相対的な位置付け)として、「お得に手軽に欲しいものを買える」「スマホで簡単に商品を売れて、副業になる」というブランドエクイティが消費者の中にあり、圧倒的な認知度で優位なポジションを築いている。
自分がマーケティング担当だったら?
Fintech事業強化
Fintech事業とメルカリのシナジーをより高めるために、メルペイと連携したメルカリ銀行(仮)を設立が良さそう。
メルカリの売上を資産とみなし、あと払いをさらに進化させた信用スコアでの融資を提供。支払い状況や他者からの評価の定量データもあるため、融資判断の精度も高まりそう。
ショップの商品仕入れに関わる融資などにも対応可能にしていくとより広がりが出てくる。
新領域への進出
メルカリの国内利用促進のために、これまで使用していなかった40代以上の男性の層をターゲットに、自動車・バイクの中古車取引をプッシュすると高額商品の取引が見込める。
すでに一定数の取引が行われているので、「メルカリなら市場に近い価格で売れる」「メルカリなら市場より少し安く買える」というポジションの確立を狙って広告やメディアに取り上げてもらえるよう施策を打つ。
購入までに、ハードルがいくつかあり、運営側で解消を考える必要がある。
「試乗の日程を決めるやりとりが面倒」
「既存のメルカリの郵送手段で対応できない」
試乗の有無を含めて日程をスムーズに、やり取りができるようにUIを変える。
コスパが良い郵送手段を用意し、アプリ内で完結できるようにしていくといったことが必要。
最終的に、中古車販売業社も参入してもらえればGMV(流通総額)に貢献してくれつつ、新規の層を開拓できそう。